事業所得についての非居住者や外国法人に対する所得税法や法人税法(国内法)における課税は、(1)国内に恒久的施設があるか否か、(2)国内源泉所得を有するか否かという2つの組み合わせで判断する。これを総合主義という。恒久的施設は支店や営業所などのこと。恒久的施設があれば、居住者や内国法人と変わらないので類似の課税方法による。国内源泉所得とは国内で発生した所得のこと。居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人のこと。非居住者とは居住者以外の個人をいう。内国法人とは、国内に本店または主たる事務所を有する法人のこと。外国法人とは内国法人以外の法人をいう。これとは別に特定の国とは租税条約を結んでいる。日本はOECDモデル租税条約をベースにしている。OECDモデル租税条約における事業所得の取り扱いは帰属主義。帰属主義とは、国内に恒久的施設がある支店や営業所が得た所得、つまり帰属した所得に課税する考え方。これは、(1)国内に恒久的施設があるか否か、(2)所得がその恒久的施設に帰属しているか否かという2つの組み合わせで判断する。総合主義と帰属主義の違いを、外国法人の日本支店が第三国の取引先に商品を販売した場合で考える。総合主義では第三国での売り上げは国内源泉所得に当たらないので課税対象外になる。一方、帰属主義では国内源泉所得に限らず国外源泉所得についても、日本支店に帰属するものであれば課税対象とする。租税条約と国内法との関係は、租税条約が優先する。世界的には、国内法に総合主義を採用している国は少ない。そこで、2014年度の税制改正で、国内法を総合主義から帰属主義に改正することとした。16年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税、17年分以後の所得税について適用する。