海外に住む親族を扶養する場合の手続きで、これまで不要だった証明書類の添付を義務化する。本国に妻や子どもを残し日本に働きに来ている外国人は多い。外国人であっても日本に住所がある場合は居住者になり、年末調整や確定申告をする。本国にいる妻や子どもに収入がない場合や収入がある場合でも38万円以下の場合は、配偶者控除や扶養控除などの適用を受けることができる。しかし、税務署の立場では外国に住んでいる妻や子どもがいるかどうかを含めて確認することは難しい。そこで、2015年度の税制改正で、妻や子どもが非居住者である場合には、控除対象配偶者や扶養親族に当たることの証明を厳格化する改正を行った。確定申告をする場合には、親族関係書類と送金関係書類を確定申告書に添付するか、または確定申告書の提出の際に提示しなければならない。給与の受け取り時には、所得税が源泉徴収されるが、この場合には給与の支払者に親族関係書類を提出し、または提示しなければならない。給与について年末調整する場合には、送金関係書類を提出し、または提示しなければならない。配偶者控除を受ける場合は親族関係書類と送金関係書類を提出し、または提示しなければならない。ここでいう親族関係書類とは、たとえば日本人の子どもが外国に住んでいる場合は、戸籍の附票の写しなどで、その子どもが親族であることを証明するものやその子どもの旅券の写しをいう。外国人の場合は、外国政府または外国の地方団体が発行した書類で、その非居住者がその居住者の親族であることを証明するものをいう。この場合、その親族の氏名、住所、生年月日の記載がなければならない。送金関係書類とは、金融機関が行う為替取引によりその居住者からその親族へ向けた支払いが行われたことを証明する書類またはクレジットカード発行会社が交付したカードを提示して、その親族が商品等を購入したことおよびその商品等の購入代金をその居住者から受領したことを明らかにする書類で、親族の生活費または教育費に充てるための支払いが、必要のつど、行われたことを明らかにするものをいう。16年1月1日以後に支払われる給与から適用する。