地方公共団体に対する寄附金は、法人税(法人住民税)と法人事業税の所得計算で損金算入が認められている。しかし、寄附した金額のうち、それぞれの税の税率に対応する金額しか税負担は軽減されない。つまり、寄附した金額と寄附金の損金算入額との差額は自己負担になっている。これでは、地方公共団体に対する寄附金の増加は見込めない。そこで、2016年度の税制改正で企業版ふるさと納税を創設した。具体的には、従来の損金算入に加え、法人事業税は寄附金の10%(当期の事業税額の15%が限度)、法人住民税は20%(道府県民税5%、市町村民税15%、法人税割額の20%が限度)、法人税は20%(法人住民税の税額控除額を控除した残額)をそれぞれの税から控除する。ただし、企業版ふるさと納税の対象となる寄附金は、地方公共団体に対する寄附金のすべてを対象にするものではない。地方公共団体が行う地方創生を推進する上で効果が高いと考える一定の事業に対する寄附金に限定しており、地域再生計画を作成し、国が認定する。また、財政に余裕のある地方公共団体は除外する。具体的には、三大都市圏にある地方交付税の不交付団体は寄附先の対象にしない。寄附をする法人の本店所在地がある地方公共団体に対する寄附金も対象外にする。