文化財保護法に規定する重要文化財として指定されている絵画、彫刻、工芸品などを所有している人は、これらの財産も相続税の課税対象になる。一方、これらの財産を持っていない多数の人にとっては、特定の個人が所有している重要文化財を見ることはできない。そこで、2018年度の税制改正で、個人が重要文化財である特定美術品を認定保存活用計画に基づき寄託先美術館に寄託しており、その個人が死亡したとき、その特定美術品を相続した人(寄託相続人)が引き続き寄託を継続する場合には、その寄託相続人の死亡の日まで、相続税額のうちその特定美術品に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する。また、寄託相続人が死亡した場合、寄託先美術館に寄贈した場合、自然災害で特定美術品が失われた場合、猶予税額を免除するなどの規定を設ける。