例えば、1970年代前半や80年代後半の土地バブルで、原野などを買わされた人が持ち続けている土地がある。購入者が死亡すると、その相続人がその土地を相続する。しかし、その土地を売ることはできない。そこで、相続に伴う土地の登記の名義変更もしないで放置するケースが増加している。このような状態が何代にもわたって繰り返されると、相続人が分散し、所有者を確定することが難しくなる。
2018年度の税制改正では、このような現象を食い止めるために、登録免許税を免税とする2つの規定を創設する。一つは、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」の施行の日から21年3月31日までの間に、市街化区域外の土地で市町村の行政目的のため相続登記の促進を図る必要があるとして、法務大臣が指定する土地について相続による所有権の移転登記を受ける場合、その移転登記時におけるその土地の価額が10万円以下であるときは、その移転登記に対する登録免許税を免税とする。もう一つは、相続により土地の所有権を取得した者が、その土地の所有権の移転登記を受けないまま死亡し、その者の相続人等が18年4月1日から21年3月31日までの間に、その死亡した者を登記名義人とするために受ける移転登記に対する登録免許税は免税となる。