日本の企業が国際的な競争力を失わないために、政府は規制措置を緩和する法整備を進めている。産業競争力強化法もその一つ。同法では、会社法で規定する事業再編の制度について、企業の競争力を強化するという視点から特例を定めている。例えば株式を対価とする公開買付け(TOB)に際しての株式の発行等に関する会社法に対する特例。2018年には、これを相対取引による買収にも拡大する改正を行う。税制面でも同年の税制改正で、株式を対価とする特別事業再編に応じて株式を譲渡した場合の課税の繰り延べ措置を新設する。具体的には、産業競争力強化法に規定する事業再編のうち、特別事業再編計画に係る特別事業再編により、その有する株式を譲渡し認定特別事業再編事業者の株式の交付を受けた場合は、その譲渡した株式等の譲渡益を繰り延べるというもの。つまり、買収される会社の株式は、買収する認定特別事業再編事業者の株式に変わる。しかし、取得価額を引き継ぐ措置により当面の課税がなくなるので、特別事業再編に応じやすい環境がつくられることになる。