年金制度は長期にわたる財政見通しに基づいて運営されている。財政見通しの基礎になる人口動態、賃金や積立金の経済状況については、予測と実績に乖離が生まれ、年金財政計画を見直し、財政計画の再計算を行う必要がある。これが年金財政再計算であり、これまでは、5年に一度の間隔で行われてきた。2004年年金改革によって約100年間の財政均衡を検証する有限均衡方式が採用されたため、今後は、5年に一度財政の均衡状態を確認する「財政検証」が行われることになる。09年の財政検証では、経済前提については高位、中位、低位で、出生率についても高位、中位、低位を組み合わせて、給付水準の見通しが計算された。この結果、経済前提が中位で出生率が中位の基本ケースで、所得代替率50.1%と予想され、当面、現行制度は維持可能とされた。