日本の事業所から海外にある支店や駐在員事務所などに派遣される人が増加しているが、就労地の年金制度や医療制度によっては、日本の社会保険制度と赴任先の外国の社会保険制度にそれぞれ加入し、両国の制度の保険料を負担しなければならない「二重加入の問題」が発生している。また、派遣期間が比較的短い場合、外国の年金制度の加入期間が短いため、年金が受けられなくなり、外国で納めた保険料が掛け捨てになる「掛け捨ての問題」もある。こうした問題を解決するために各国と社会保障協定が締結されている。協定発効後は、5年以内の駐在ならば年金などの社会保障制度の加入が不要になり、事業主負担も軽くなる。5年以上ならば相手国の制度に加入し、日本の社会保険料が免除となる。また年金の受給資格期間に滞在先の加入期間を通算できるので掛け捨てが起きにくくなる。2017年1月時点では、ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インドと協定が発効されている(イギリスと韓国、イタリアについては、二重加入の防止のみ締結)。