2004年の年金制度改正では、公的年金の財政運営について、財政の安定性を確保するための視野に入れるおおむね100年程度の有限期間を財政均衡期間として設定した。この期間で、政府が支払う年金の総額と集める保険料の総額、国庫負担と取り崩す積立金の合計が均衡している必要がある。この財政コントロールの方式を有限均衡方式と呼ぶ。それまでの財政均衡の方法は、将来のすべての期間について給付と負担の均衡を図る永久均衡方式であった。有限均衡方式では、年金財政検証において、おおむね100年後にその時点での給付額1年分の積立金を保有するように年金収支をコントロールし、収支が均衡しなければ年金改革が必要になるという仕組み。04年年金制度改正の際は、財政均衡期間は2100年と設定されたが、今後の5年に一度程度の年金財政検証に連動して、目標年も5年単位で将来に向かってずれていくことになる。100年有限均衡方式は「100年安心」というように誤解されたが、改革を行わずとも年金制度が100年間安定するという意味ではなく、「100年後を見ながら」経済・人口の変動に応じて必要な年金改革をして、制度を安定化させるという意味である。なお、財政均衡期間の約100年は、すでに生まれている人が年金受給を終えるまでの期間を前提にしている。