法律上、本来想定している年金額の水準は本来水準といい、物価や賃金の上昇や下落に応じてスライド(増減)され、実質価値が維持されることになっている。しかし、現在の給付額は、2000~02年度の物価下落分の1.7%が反映されない「物価スライド特例措置」が適用されており、本来水準よりも高い水準で給付が支払われている。これを「特例水準」という。特例水準の年金額は、物価が上昇しても据え置く一方、物価が05年の物価水準を下回った場合には、その分だけ引き下げるというルールとなっており、以降の物価の上昇で差額を解消していく予定だった。しかし、11年度においては、本来水準と特例水準の差は2.5%と広がっており、その分だけ、年金財政の支出が増加している。こうしたことから、特例水準の解消を盛り込んだ改正国民年金法が12年11月26日に成立。これにより、2.5%の特例水準は、13年から15年までの3年間で解消されることになった。解消のスケジュールは、13年10月より1%減、14年4月より1%減、15年4月より0.5%減になる。