正式名称は、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律」。年金制度の持続可能性を高めるために、(1)年金の支給額改定の際に、物価の下落率より賃金の下落率が大きい場合は、賃金に合わせて年金額を減額、あるいは物価が上昇していても賃金が下落した場合は、賃金に合わせて年金額を減額する。(2)高齢化率に合わせて年金水準を引き下げるマクロ経済スライドの仕組みを見直し、1)物価下落時はマクロ経済スライドを適用しないのはこれまで通りとしつつ、2)物価上昇時に、物価下落時にはできなかったマクロ経済スライドを複数年分まとめて適用し、給付水準を下げることとした(「キャリーオーバー」と呼ばれる)。このほか、(3)厚生年金の加入対象を拡大し、従業員数500人以下の中小企業の短時間労働者も一定の条件を満たせば加入対象にすること、(4)出産前後の保険料の免除、(5)GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のガバナンス改革、(6)日本年金機構の不要財産返納などが決められた。このうち、特に(1)については、野党は年金カット法案として批判し、与野党が国会で激しく対立したが、2016年12月14日に同法は成立した。