20014年に発表された「財政検証」の結果をまとめたレポート。15年9月に発表された。
年金制度は長期にわたる財政見通しに基づいて運営されている。財政見通しの基礎になる人口動態、賃金や積立金の経済状況については、予測と実績に乖離が生まれ、年金財政計画の見直しを行う必要がある。具体的には、政府の直近の将来人口推計の改定に連動して、5年に一度の間隔で、将来100年間程度の財政見通しを確認する「財政検証」を行い、発表している。その結果、(1)17年度以降の保険料は引き上げないこと、(2)将来の積立金が給付の1年分を確保できること、(3)将来の給付水準が50%を下回らないことを基準とし、年金財政の安定性を確保するために必要であれば、年金改革を行うこととしている。14年は、経済前提について、経済成長や労働力率の見通しなどに8通りのパターンの財政予測を検証し、経済成長や労働力率の上昇率が高い5パターンについては、年金財政は持続可能であるが、高い経済成長などが想定されない3パターンでは上記の(1)から(3)の条件を確保できないことが確認された。また持続可能な5パターンでも基礎年金の給付水準が大幅に低下することが確認されており、今後の改革が必要ではないかという指摘もされている。