子どもの自由と自主性の尊重を理念とする学び舎。A.S.ニイルが1924年にイギリスで創設したサマーヒル学園はその典型。そこでは教師と生徒の信頼関係に基づいて学校生活の規則も授業への出席も、すべて生徒の責任と自主性に委ねられる。フランスのフレネ学校、ドイツのシュタイナー学校、アメリカのクロンララ・スクールなども代表的なフリースクールである。日本で80年代以降増加したフリースクールやフリースペースの多くは、不登校等の具体的な悩みを共有することから生まれたセルフヘルプ・グループ(自助団体)としての色彩が濃い。オルタナティブ教育研究会は、適応指導教室を含めて全国の学び舎の実態を多面的に分析(2004年3月)。その結果、(1)適応指導教室の占有率の都道府県格差は大きく、町村部では「官」に依存する傾向があること、(2)特にフリースペースとフリースクールは引きこもり経験者を始め多様な子どもたちを引き受ける傾向が強いこと、(3)不登校観や子どもへのまなざしの面で官民の大きな違いがあり、運営の仕方等に投影されていること、(4)民間の学び舎の財政状況は厳しく個人の会費負担が過重状況にあること、などの事実を明らかにした。神奈川県など、公設民営方式の居場所づくりに取り組む自治体も現れ始めている。文部科学省も05年にNPO(民間非営利組織)を含め15団体に不登校への対応実践事業を委託した。