平均寿命が伸び、青年期がいわゆるモラトリアム期間として延長されるにつれて、「子ども/大人」という区分で発達を捉えることが難しくなっている。「後期子ども」は一連の社会・経済変化の中でつくり出されたカテゴリーであり、およそ15~30歳にわたる子ども期後半の若年層を指している。義務教育年齢に相当する子どもたちへの社会保障に比べて、わが国の高校以降の年齢層の社会的支援はきわめて遅れている。北欧をはじめヨーロッパ諸国に比して、日本の国家財政に占めるこの年齢層への社会保障費の割合はきわめて小さいことが知られている。金融不況の影響もあり、高卒者の就職状況はますます悪化している。非正規雇用など不安定な性質を持つ労働市場に放り出されたかれらを支援する措置がいま切実に求められている。たとえば、高卒就職ジョブサポーターなどの制度化が試みられているが絶対数が少ない。とくに雇用機会を中心に後期子どもの社会的支援は国家的な課題となっている。