児童を被写体とした動画や写真などのポルノ作品。そのうち、とくに社会的に有害とされ、法的規制の対象となるものを称することが多い。被害児童に深刻な心的外傷を与えることが懸念される。1999年に成立し、2004年に改正された「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(児童買春・児童ポルノ禁止法)によれば、(1)児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態、(2)他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、(3)衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの、のいずれかに該当する内容を「視覚により認識することができる方法により描写したもの」を指す。児童ポルノ事犯の検挙件数は、02年の189件から14年には1828件へと急増している。14年の改正によって、「自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持した者」や「自己の意思に基づいて所持するに至った者」を処罰する規定が盛り込まれている。情報が氾濫するネット社会において子どもの人権を守るためには一定の規制が必要だとする視点から法整備が行われたが、制度化の影響や規制方法の有効性の検証も含めて大人社会のあり方が厳しく問われている。