子の利益の保護を目的として、親権を侵害するような国境を越えた子の強制的連れ去りや引き止めを防止する多国間条約。「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」の通称。採択地のオランダ・ハーグの地名に由来する。16歳未満の子を親権・監護権者たる親の同意なくして国境を越えて連れ去ったり隠匿をした場合に、両国が同条約に加盟していることを条件に、子を奪われた親は政府を通じて相手国に子の返還等を請求することができる。両親の離婚等によって生じた子の移動をめぐり、移動以前の常居所地に帰還させることが原則となる。同条約は、1980年に採択され83年に発効したが、文化や国内法の違いもあり、日本を含めたアジア・アフリカ・中東諸国の加盟国はまれであった。アメリカ等の圧力もあり、2011年5月20日に日本でも加盟方針が閣議了解された。さらに、13年5月にハーグ条約の締結が国会で承認され、同年6月には実施法案も国会で成立した。