覚せい剤や大麻など違法薬物と似た化学構造をもつように製造された幻覚作用などをもつ薬物の総称。主に海外で製造され、使用法によっては、嘔吐、意識障害、呼吸障害などの健康被害を起こすことがある。また、違法薬物の乱用・依存のきっかけ(ゲートウェイ・ドラッグ gateway drug)となることも懸念される。2014年6月、東京・池袋の繁華街で危険ドラッグを使用した男の運転する車が暴走し、8人が死傷する事故が起こった。他にも運転者が危険ドラッグを使用して引き起こした交通事故等が次々に報道された。同年の上半期に危険ドラッグに絡んで摘発された事件が過去最多の128件に達し、社会問題化した。麻薬取締法や薬事法の規制対象外であることから、従来は「合法ドラッグ」「脱法ドラッグ」「違法ドラッグ」などと呼ばれていたが、14年7月、厚生労働省と警察庁は事案の重大性をふまえて呼称を変更し、販売店舗の立ち入りや指導など取り締まりを強化した。ただし、化学構造を微妙に変えた新種の薬物も出回り、イタチごっこの様相を呈している。