全国の市町村を対象に、「歴史的風致」を後世に継承するまちづくりを進めようとする取り組みを、国が支援するための新たな制度。2008年5月に文部科学省(文化庁)、農林水産省、国土交通省の共管の法律として公布された。日本には、城や神社、仏閣等の歴史上価値の高い建造物や、その周辺に町家などの歴史的な建造物等が残されているとともに、こうした地域における固有の歴史や伝統を反映した人々の生活が営まれ、その地域固有の風情、情緒、たたずまいを醸し出している。しかし、このような良好な環境(歴史的風致)は、維持管理の費用面、所有者の高齢化、人口減少によるまちづくりの担い手の不足等により、急速に失われつつあるのが現状である。そこで、歴史まちづくり法の主な特徴としては、(1)古都保存法で対象外となっていた金沢(石川県)・萩(山口県)といった全国各地の歴史的都市も対象となったこと、(2)文化財単体の保存・活用だけでなく、その周辺環境の整備をふくめたまちづくりの推進を目的としていること、(3)景観法や都市計画法等による規制的手法だけでなく、歴史的な建造物の復元などの歴史的な資産を活用したまちづくりに対して、国の財政・税制の支援が得られるようにした事業法であることなどがあげられる。