行政の施策や計画などに対する市民参加手法として、アンケート、ヒアリング、パブリックコメント、タウンミーティング、審議会や説明会、ワークショップなどが実践されている。しかし、こうした手法では、サイレント・マジョリティーと呼ばれる一般の市民の声なき声を抽出することが難しい。そこで、近年、自治体が主催して、総合計画や分野別計画の策定プロセスへの新たな市民参加手法として、プラーヌンクスツェレという手法が注目されている。プラーヌンクスツェレとは、ドイツのペーター・C・ディーネル教授が1970年代に考案し、同国を中心に多く実施されている新しい市民参加の方法で、無作為抽出された市民が様々な行政等の課題に対し、討議を重ねて解決策を探っていくものである。日本では、「市民討議会」と呼ばれることが多く、特徴としては、参加者を住民基本台帳から無作為抽出すること、参加者には報酬が支払われること、専門家による情報提供があること、参加者による討議・意見集約を行うこと、討議結果(報告書)を提出・公表すること、などが挙げられる。日本では、2005年(社)東京青年会議所主催により、千代田区で初めて開催され、その後、東京都三鷹市や埼玉県飯能市などでも実践されている。