同一都市、あるいは同一地域内にある複数の空港を仮想的に同一の空港とみなし、他の空港からの運賃を同一に設定、航空券の振替も相互に可能とするもの。日本では関西地域において、伊丹空港、関西空港、神戸空港の間でいち早くマルチエアポート化が実施された。日本では、首都圏における成田空港と羽田空港や先述の関西圏、そして北九州圏における福岡空港と北九州空港、佐賀空港など、近接した地域に複数の空港が存在する場合がよく見られる。その中で、マルチエアポートは、お互いの空港が生き残りをかけて熾烈に争うのではなく、うまく協力し合って共存しようという試みである。この延長線上には複数空港の経営の一体化がある。すでにヨーロッパではその段階に至っており、日本でも伊丹空港と関西空港の間で経営の一体化に向けての法整備が進められている。航空会社が採算性重視の経営を強めていく中、路線の選別も厳格に行なってきており、今後、空港の生き残りも厳しさを増していくことだろう。こうした事情を受け、各地域でマルチエアポート化に向けた取り組みが活発化していくことが予想される。