デフレの進行により、より安い料金を望む消費者によって支持され、台頭してきた格安バス輸送サービス。旅行会社がバスを保有している会社から車両を借りうけ、東京~大阪間など、路線バスと同じように一定の区間の定期的な旅客輸送を行う。本来はツアーとしての輸送なので、路線バスとしての事業免許を受けていないため、定められた停留所をおくことができず、駐車場などを使って係員による乗車手続きを行っていた。安い上に、ゆったりとした座席配置などのサービス競争によって利用者から好評を得た半面、長距離運転をするにもかかわらず運転交代要員を置かなかったり、無理な勤務を強いるなど、安全対策上問題があることが以前から指摘されていた。また、旅行会社とバス会社の間での安全管理責任の所在があいまいであるという問題もあった。2012年4月、関越自動車道で起こったツアーバスによる死亡事故をきっかけとして見直しが行われ、ツアーバスは「高速乗り合いバス」に統一され、路線バスとしての規制が適用されると同時に、運転手1人の1日当たりの最大運転距離の上限が定められるなど、新たな安全管理基準も設けられた。