地方公共団体や民間などからの提案により、特定の区域を対象に、既存の全国一律の規制の緩和を認めたり、税制の優遇、財政上の支援、金融上の支援などが受けられるようにする仕組みのことである。2002年12月、小泉純一郎政権下において制定された構造改革特別区域法に基づく構造改革特区制度は、地方公共団体や民間(市民、企業、NPO等)が、区域を限定して法制度全分野について規制緩和を提案することができ、国と提案主体との応答等による検討プロセスを経て、国がその妥当性を判定し特別区域(特区)を認定する。例えば、岩手県遠野市の日本のふるさと再生特区(通称・どぶろく特区)などが有名である。構造改革特区制度は、規制緩和が主な内容だったが、11年6月に成立した総合特別区域法(通称、総合特区法)では、国際的な競争力の強化や地域の活性化を目指し、特定の区域に対して、規制・制度の特例措置や税制・財政・金融上の支援が受けられるようになった。総合特区制度には、経済成長のエンジンとなる産業・機能の育成に関する先駆的な取り組みを行う「国際戦略総合特区」と、地域資源を最大限活用した先駆的な地域活性化の取り組みを行う「地域活性化総合特区」の2タイプあり、地方公共団体(民間は指定申請することについて地方公共団体に対し提案することが可能)が申請し、総合特区推進本部の議を経て、内閣総理大臣が総合特別区域(総合特区)を指定する。また、東日本大震災による被災地の復興事業を推進するために制定(11年12月成立)された東日本大震災復興特別区域法(通称、復興特区法)では、税制優遇や規制緩和、土地利用手続きの簡素化、地方公共団体が一定の範囲内で自由に使える復興交付金といった特例が盛り込まれている。地方公共団体が計画を作成し、復興庁の認定などを経て、特区として認められる。