災害発生地域や災害の危険性の高い地域として指定された地域において、地域単位でより安全な場所への移転を促進することを目的に国と市町村で実施する事業。「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律」に基づく。10戸以上の規模であることが原則だが特例もある。東日本大震災からの復興においては、いわゆる高台移転として、頻繁に議論されており、特に臨海部など津波のリスクが懸念される地域では、津波の心配の少ない高台や内陸部が移転先の候補地として検討されている。災害リスクの軽減という大きな利点が存在するものの、その一方で居住者の日常生活が不便になるという指摘もある。過去に、防災を目的とした高台への移転が実施されたことがあるが、仕事の都合などで、最終的には、居住者が元の臨海部に戻ってきたという事例もある。また、移転が大規模になれば、移転先の候補地を見つけることも困難となり、限られた候補地の中で住民が納得する移転先を見つけることも課題の一つとなる。さらに、今回の震災のような大規模な災害が発生した場合、同じ地域の被災者が異なる地域に避難していることも少なくなく、集団移転のための話し合いの場の設定自体が困難となる。一方で、集団的に移転をすることにより、地域コミュニティーが移転先でも継承され、新しい生活になじみやすいという利点がある。