道路運送法から特にタクシー事業だけを取り扱う法律案。タクシー事業では、公共交通として安定的な供給と安全な運行を保障するために、従来、タクシー会社に対して運賃や保有台数などの規制が行われていた。しかし、競争政策の導入を図り、業界の効率化・活性化を進めるため、2002年、需給調整規制などの大幅な規制緩和が行われた。その結果、新規参入が増え、新しいサービスが展開されたが、不景気も重なり、客待ちで路上停車をするタクシーの列などによって渋滞問題が深刻化し、過剰な割引や相対取引の横行などによって売り上げが減少。これによるタクシー運転手の賃金の低下が労働の質の悪化につながり、交通事故の増加などが懸念されるようになった。そこで、09年、国土交通省はタクシーの適正化・活性化のための特別措置法「タクシー適正化・活性化法」を施行、問題が深刻と見なされる地域は「緊急調整地域」に指定し、タクシー各社に減車を促した。しかし、経営の自由を阻害するという反対も多く、法的強制力もないため、事態の根本的な改善には不十分であるとされた。そして、13年11月に改正された同法では、地域協議会に法的強制力を与えるなど、規制が強化された。