都市や地域が大規模な自然災害に見舞われた場合、被災住民が被災した場所あるいはその近くにとどまりながら、復興に取り組んでいくための、暫定的な生活の場となる市街地。元の住まいの近くで暮らしながら復興を目指せる利点がある。阪神・淡路大震災時に、仮設住宅が遠方に分散して配置されたことや、被災した場所での自力仮設住宅の建設への配慮がなかったことの反省に立って、専門家が提唱した。東京都が2003年にまとめた震災復興マニュアルに「時限的市街地」の用語でこの考えが盛り込まれた。災害が起きる前に、このような復興過程を想定して復興計画を策定しておくことを事前復興という。11年の東日本大震災からの復興における、仮設商店街などの取り組みや、仮設住宅団地を発展させて復興まちづくりに導こうとするアイデアはこの考え方の一例である。東京電力福島第一原子力発電所事故で、避難住民が帰還できるようになるまでの間、まとまって住む拠点を他の地方自治体に置く「仮の町」構想も基本的には同じ考えの延長線上にある。