TOD(公共交通指向型開発)は、公共交通に基礎を置いた自動車に依存しない都市構造を実現するための開発概念である。具体的には、鉄道・次世代型路面電車システム(ライトレールトランジット LRT)・バス等の公共交通駅から徒歩圏内に、高密度で複合用途の空間や歩行者が歩きやすい環境を整備するなど、自家用車を利用しなくてもすむ都市構造を実現しようという考え方である。TODが生まれた背景には、自動車依存による無秩序な郊外化の進行とそれに伴う中心市街地の深刻な空洞化をもたらした都市計画を見直し、都市の成長をバランスよく誘導し、都市をより持続可能な構造に再編していこうという都市づくりの課題がある。脱自動車化を目指すアメリカのニューアーバニズムの中心となる考え方で、21世紀都市のあり方を論じた新アテネ憲章にも同じような考え方が述べられている。TODの実現は、環境負荷低減につながると言われている。TODは、アメリカのポートランド、フランスのストラスブール、ドイツのフライブルク、ブラジルのクリチバなどの都市で実践されている。