建築物や街路、橋梁などを、照明装置を用いて光によって演出すること。近年、夜間の景観形成の一つの方法として定着しつつある。LED(発光ダイオード)などが普及し、様々な色彩、光量で建物などをライティングすることが、技術面あるいは予算面において容易となり、また光が作り出す景観に対する市民の関心も高まっていることから、年々導入事例が増加している。レインボーブリッジ、東京スカイツリーなど特に大規模なランドマークとなる建築物において導入され、都市の新しい名所作りに寄与している。また、神戸ルミナリエのように、定期的に開催され、毎年多くの来場客が訪れる事例も増えている。
一方で、都市の景観形成という側面からみると、最近まであまり取り組まれてこなかった手法の一つである。個別の建築に電飾看板を設置したり、建物内部の光を意図的に外部にもらすことはかつてより見られたが、多くは景観形成という意図をもって行われたものではなかった。しかし、近年の傾向としては、街路や建物の光環境を一体的にデザインして、統一された景観コンセプトのもとで地区全体を光で演出する事例が増加している。また、建築物のライトアップについても、かつては単に歴史的建造物などを外側から照射するにとどまっていたが、近年では異なる色彩の光を組み合わせて投影したりと、時間により色彩を変えて投射したり、空間演出にこだわったものが増加している。建物の建て替えや面的な再開発をしなくとも、比較的小規模な設備投資で、地域のイメージ向上、観光客増加などが見込めることから、公共空間における都市景観形成の新しい手段として注目されている。