高度道路交通システム。最先端の情報通信技術を用いて、道路渋滞の解消、運転の安全性の追求など、道路交通上の諸問題の解決を図ろうとするもの。渋滞や交通規制などの情報をリアルタイムで車載のカーナビゲーションに反映させるVICS(vehicle information and communication system)や、有料道路の料金徴収を自動で行うETC(electronic toll collection system)などが、すでに普及し大いに活用されている。また、2013年11月、日産自動車は、自動運転技術を搭載した車両を実際に高速道路で走らせ、データを収集する実験を開始すると発表した。これ以外にも様々な分野でITSはすでに実用化されたり、実用化に向けた研究が進められている。ただし、実用化が進むにつれ、ITSに過度に依存することに対する警告も発せられるようになってきた。情報通信システムがダウンしたり、機器の不具合で誤った情報が発せられ、深刻な混乱を招く危険性も想定しなければならない。同時に、事故や問題が生じた場合、自動車メーカー、ITSの運営者、運転者のいずれに法的責任の所在を求めるべきか、といった新たな問題も生じてくる。