深夜時間帯にバスを運行させることで移動の利便性を高め、都市の魅力を高めようという試み。猪瀬直樹元東京都知事の主導で、2013年12月から、渋谷~六本木間で毎週金曜日深夜から土曜日未明にかけて東京都交通局が試験的に実施した。20年の東京オリンピック開催を視野に入れ、将来的には都営地下鉄の24時間化につなげていこうという計画があった。その背景には、国際都市ニューヨークの地下鉄が24時間運行されていることがある。しかし、当初は注目されたものの、徐々に利用者は減少し、14年10月末に試験運行は打ち切られた。その要因としては、1時間に1本しか運行されなかったという利便性の低さと、料金がそれほど安くなく、複数の利用者であればタクシーに乗った方が安く移動できたということがある。また、渋谷以遠の交通手段がないため、六本木から渋谷に移動しても、そこから郊外の家に帰ることができないということも利用が伸びない理由となった。バス、地下鉄の24時間運行が仮に実現すれば、深夜の時間帯を主たる活躍の場とするタクシー業界からの反発は必至となる。今後24時間化を本格的に進めるのであれば、どのような交通手段の横断的な政策を打ち出していけるかが問われることになる。