コンパクトなまちづくりを進めるために、市町村が都市全体の観点から、居住機能や福祉・医療・商業等の都市機能の立地、公共交通の充実等に関する包括的なマスタープランのこと。急激な人口減少と高齢化を背景に、安心できる健康で快適な生活環境の実現、財政面や経済面で持続可能な都市経営の実現が大きな課題となっている。そこで、医療・福祉・商業等の都市機能や住居等がまとまって立地し、住民が公共交通でこうした生活利便施設にアクセスできるなど、福祉や交通なども含め、都市全体の構造「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の考えでまちづくりを進めていくことを目指し、2014年8月に都市再生特別措置法等の一部が改正され、立地適正化計画制度が創設された。立地適正化計画制度は、税制や融資等の優遇措置による誘導と、届出・勧告制度による立地の誘導を行おうという仕組みであり、15年1月現在、栃木県宇都宮市、大阪府大東市、埼玉県川越市などで策定に向けた取り組みが始まっている。立地適正化計画では、都市計画区域全体を対象とし、「都市機能誘導区域」と誘導施設の設定、「居住誘導区域」の設定が必須事項となっている。「都市機能誘導区域」とは、医療・福祉・商業等の都市機能を都市の中心拠点や生活拠点に誘導し集約することにより、これらの各種サービスの効率的な提供を図るエリアとされている。また、「居住誘導区域」とは、人口減少下でも、人口密度を維持することにより、生活サービスやコミュニティが持続的に確保されるように居住を誘導すべきエリアとされている。立地適正化計画の策定に向けた課題として、我が国の大都市周辺部や地方都市では、福祉・医療・商業等の都市機能や住宅が郊外に低密に拡散して立地していることから、市民等との合意形成も含め、都市機能誘導区域や居住誘導区域をどのように設定していくかが難しいこと、居住誘導区域外となった区域の急激な衰退化や生活サービス機能の低下が懸念されることなどが挙げられる。