地方自治体やNPO等が行う空き家対策の一つ。地域の空き家の登録を募り、ウェブ上などで物件情報を公開するなどして、空き家の購入・賃借の希望者と売却・貸し出し希望者をマッチングするシステムのこと。全国から希望者を募り、地域に住民を呼び込むことによって地域の活性化を図ることをねらいとする場合が多い。ほとんどは市町村が運営しているが、都道府県やNPO法人が運営しているものもある。不動産仲介には免許が必要であるため、空き家バンクが行うのはいずれもマッチングまでであり、実際の仲介は宅地建物取引業者に委託するか、当事者同士で行うことになる。空き家バンクの設置は、人口減少の進む地方の市町村などを中心に1980年代後半よりはじまったもので、空き家対策の中では早い段階から取り組まれているが、全国的な広がりを見せるようになったのは2005年頃以降のことである。国土交通省・総務省の調査によると、14年現在、全国590の自治体で設置されている。これはインターネットが普及したこととともに、いわゆる団塊世代の退職後の移住希望者をターゲットにしているものが多いことによる。しかし、物件の登録数や成約実績には空き家バンクごとの差が大きく、開設以来の累計成約件数が10件に満たないものも多い。実績を上げている空き家バンクは、所有者による自発的な登録を待つだけでなく、NPOや自治会などと連携しながら積極的に空き家情報を収集、登録するとともに、問い合わせがあった場合には、物件案内はもちろんのこと、生活や仕事の相談にも応じたり、先に移住した人と引き合わせたりするなど、きめ細かな対応を取っている。例えば、長野県佐久市の空き家バンクは08年に設置以来、14年までに250件を超える成約があるが、これは地元に相談員を置くなどして移住者の受け入れ体制を整えていることが大きく影響している。