地方自治体が都市住民を受け入れ、地域おこし協力隊員として委嘱し、各種の地域協力活動に従事してもらいながら、当該地域への定住・定着を図る取り組みのこと。2009年に総務省によって制度化された。協力隊員が行う地域協力活動は、農林水産業への従事、水源保全・監視活動、環境保全活動、住民の生活支援、地域おこしの支援などで、内容は地方自治体によって異なる。地域協力活動を行う期間は、おおむね1年以上3年以下で、協力隊員は、3大都市圏をはじめとする都市地域から過疎地域や山村、離島、半島等の条件不利地域に生活の拠点を移し、住民票を移動させる必要がある。13年度には318団体で978人の協力隊員が従事している。20~30代が合わせて7割以上を占めているが、50~60代の隊員も1割程度いる。具体的な地域協力活動としては、農作業支援や農林水産業への従事などのほか、独居老人宅への声かけ・見守りや通院・買い物等の移動サポート、除雪支援といった住民の生活支援を行っている場合もあれば、特産品開発、都市農村交流イベントの企画運営、移住支援、婚活イベントの企画・運営といった都市住民との橋渡しの役割を担うような活動を行っていることも多い。また、任期終了後、協力隊員が当該地域に定住することが期待され、実際に約6割が同じ地域に定住し、中には起業したり就農したりする協力隊員もおり、新たな定住促進策としても期待されている。一方で、受け入れ地域が何をしたいのか不明確なままだったり、受け入れ体制が不十分なまま、募集、委嘱してしまうケースも見られ、課題となっている。例えば、都会で育った若者が協力隊員として集落に1人で入ったとしてもなかなか発言力をもてず、集落内のしがらみや保守的な動きの中で身動きがとれなくなってしまうケースは多々見られ、行政のサポートや協力隊員同士のネットワークづくりなど、協力隊員に対する支援体制の確立が重要である。