タクシー利用の需要を喚起するため、短い距離でのタクシー利用をしやすくするために、初乗り運賃を引き下げることを認めるよう業界団体が国に申請し、2016年8月から9月にかけて東京都内で実証実験を行った。その結果、同年12月、国土交通省はその申請を認めることを決定した。これにより、東京23区と三鷹市、武蔵野市では、17年1月30日から、従来の初乗り運賃の約半額となる380円から410円で短距離のタクシー利用が可能になった。ただし、乗車距離が延びてくると従来よりも割高になる構造となっている。日本のタクシーは国際的に見て運賃が高いという批判がなされてきており、それに対処する意味もある。しかし、他国では、公共交通機関としてタクシーが位置づけられ、国からの補助金が出ているために運賃を安く設定できている場合もあり、単純に比較はできない。また、初乗り運賃が高めであったことから、タクシー事業者としてはそこで得られた収益によって、激しい競争の中で生き残ることができていた面もあり、今回の初乗り運賃の引き下げに関しては、特に労働組合側から激しい反対があった。長距離を乗車すると、従来よりも運賃が高くなるのは、この初乗り運賃の引き下げによる減収分を埋め合わせようという意図がある。