近年、無人航空機(ドローン)が急速に普及し、物流をはじめとするさまざまな分野での利用が広がってきた。その一方、航空機の離発着のルートに無人航空機が侵入して安全な航行に支障を生じさせる事態が起きている。また、祭りなど人が集まっているところで、上空からその光景を撮影しようとして操作を誤り、無人航空機が落下することで、人々に障害を与えるなどの危険性が高まってきた。そこで2015年7月、無人航空機の取り扱いに関して、航空法の一部を改正する法律案が閣議決定され、同年9月に成立、12月から施行された。これによって、無人航空機の飛行にあたっては、(1)空港周辺など、航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域、(2)人または家屋の密集している地域の上空、においては、国土交通大臣の許可を受けなければ飛行させてはならない、と定められた。また、無人航空機を飛行させる方法については、国土交通大臣の承認を受けた場合を除いて、(1)日中において飛行させること、(2)周囲の状況を目視により常時監視すること、(3)人または物件との間に距離を保って飛行させること、とした。これらの規定に違反した場合には罰金が科される。ただし、事故や災害時の公共機関等による捜索・救助等の場合には、これらの規定は適用除外とされる。