人口集中地区のこと。国勢調査の基本的な単位となる区域のなかで、人口密度が1平方キロ当たり4000人以上のものが隣接しあって形成する、5000人以上の人口をもつ地域をDIDと規定。国勢調査の一環として1960年以降調査されている。DIDは都市的な市街地とみなすことができる地区であり、地域のなかから都市的なエリアを抽出することができる。60年のDID面積を100とすると、90年のDID面積は303であった。このことは、この30年の間に、それまであった市街地のおよそ2倍の広さの新たな市街地が形成されたことを示している。この時代の市街地拡大はすさまじく、環境や景観に関する問題意識が生まれる要因ともなった。市街地拡大は緑地の破壊でもあり、他方で、工業化の著しい拡大は各地に公害を引き起こし、それが自然保全への関心につながった。また、急激な都市化は各地に画一的な市街地を生みだし、一方で歴史的な町並みの変貌が進んだ。そのような状況のなかから、失われていく歴史的環境を惜しむ傾向と、そうした歴史的な環境こそが人間的な環境なのではないかという認識が生まれてきた。このような国民的な関心を背景に、81年、旧建設省が「うるおいのあるまちづくり」という政策を打ち出した。90年以降の市街地拡大はゆるやかで、2010年のDID面積は対1960年で330であった。DID面積はいまだ漸増傾向をみせる一方で、人口規模の小さいDIDの地区数が減少している。つまり、集積の小さな市街地が消滅傾向をみせている。2010年時点で、全国の面積の3.4%のDIDに全人口の67.3%が居住しており、農村的な地域に居住する人口は少ない。