PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)は、官民パートナーシップのことで、公共施設などの建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫などを活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化などを図るもの。PFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)は、民間資金を活用した公共施設などの整備で、PPPの一手法。1992年にイギリスで導入され、日本では、99年に法制化された(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律)。PFI事業には施設・資産の所有形態等によりいくつかの類型がある。そのなかで、BOT(Build Operate Transfer)方式は、PFI事業者が自ら資金調達を行い、施設を建設(Build)並びに所有し、事業期間にわたりその施設を運営(Operate)・管理し、事業期間終了時に無償もしくは有償で公共に所有権を移管(Transfer)する方式である。施設の所有権がPFI事業者にあるため、柔軟な施設管理が可能になるなどのメリットがあり、PFIの典型的な事業方式となっている。BTO(Build Transfer Operate)方式は、PFI事業者が施設を建設(Build)し、その後、一旦施設の所有権を公共に移管(Transfer)した上で、PFI事業者が施設を運営(Operate)・管理する方式である。施設の所有権を移管する時点で建設費が支払われることが多く、PFI事業者にとっては、事業当初の大きな負担が軽減されるなどのメリットがある。広義のPPP方式としては、かつて盛んに行われた、第三セクター(地方自治体と民間の共同出資による企業)による開発や公的な土地の信託事業などがあるが、その多くが破たんした。その理由として、事業実施のリスク分析の不十分さ、リスクに見合うリターンの設計の不存在、曖昧な契約によるガバナンスの不存在などがあげられる。韓国ではPPI事業(インフラ民間投資法 Act of Private Participation in Infrastructureに基づく)で仁川国際空港鉄道が整備されたが、2009年、開業間もなく民間資本が撤退し、制度的な失敗ではないかと話題になった。日本でもそうした事例が生じており、PPP方式は万能ではなく、導入には一層の工夫が必要である。