2015年2月に施行された空き家に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための法律(正式な名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」)。空き家に関する法律が制定された背景には、全国の空き家数が約820万戸、空き家率が13.5%と増え続けており、特に適切な管理がなされず放置された空き家が、防災・衛生・景観などの地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすケースが増えてきたことにある。これまで自治体が自主的に空き家条例を制定するなど、空き家に対する取り組みを行ってきたが、所有者の財産でもある空き家に対して自治体が勝手に調査や撤去をすることが難しいといった問題があったことから、自治体の空き家対策に法的な根拠を与えるとともに、地域の安全・衛生・生活環境・景観などに悪影響を与えるおそれのある状態「特定空家等」と自治体が判断すると、自治体による立入調査や、除却・修繕・立木竹の伐採などについての助言・指導、勧告、命令、代執行を行うことが可能になった。また、以前は個人情報保護法により空き家等の所有者等を把握することが難しかったが、固定資産税に関する情報について自治体内での利用ができるようになった。空き家対策特別措置法の施行により、空き家の所有者として影響がある点は、自治体から「特定空家等」と判断された場合である。自治体から「特定空家等」と判断され、かつ、空き家が地域に悪影響を与えるおそれのある状態を改善するように市町村から勧告を受けると、土地に対する固定資産税の特例(優遇措置)から除外され、土地にかかる固定資産税が増えることになる。空き家対策特別措置法の施行を受け、空き家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、「空家等対策計画」の策定に取り組む市町村が増えている。国土交通省と総務省の調査によれば、16年10月1日までに策定済みは107市町村(全市町村の6%)、策定を予定しているのは1340市町村(全市町村の77%)であり、今後、ほとんどの市町村で、空き家対策が本格化する動きが見られる。