高度経済成長期に大量に建てられた戸建て住宅や分譲マンションなどを中心に、住宅の老朽化が進んでいるだけでなく、居住者の高齢化も進んでいる家のこと。2013年時点で居住されている住宅ストック総数約5210万戸(「長屋建て」「その他」「不詳」は除く)のうち、新耐震基準が施行された1980年以前に建築された住宅は1369万戸であり、居住されている住宅の約3割が築35年以上経った住宅となっている。これら築35年以上の住宅の約42%(580万戸)に高齢単身・高齢夫妻の世帯が居住するなど、日本では、老いる住宅が多く存在するようになっている。こうした老いる家を相続する世代は、すでに実家を離れ、それぞれ自分の家を持っていることが多く、相続した実家に住むというケースは少なくなっている。そのため、住宅の立地や広さなどにもよるが、実家の売却・賃貸が進まない場合、大量に空き家化するというリスクが懸念されている。地方都市や大都市遠郊などの老いる住宅の中には、立地や間取り・広さ・維持管理状況などの点で現代の住宅ニーズと合わないため、売りたくても買い手がつかない、貸したくても借り手が見つからない、固定資産税や管理費・修繕積立金を支払うだけの「負動産」になるという問題が発生しはじめている。特に、分譲マンションについては、建物の老朽化が進むと同時に居住者の高齢化や空室化・滞納者の増加が進むことで、マンションの管理が行き届かなくなり、荒廃化する「限界マンション」といわれる問題が注目されはじめている。たとえば、全国の築50年を超える分譲マンションは、2016年には3万戸だが、21年は18万戸、31年は106万戸と今後、急増していくと予測されており、近い将来、こうした老いる家の中でも、分譲マンションの終末期問題の深刻化が懸念されている。今後、戸建て住宅も分譲マンションも、住宅とともに居住者の老いも進行していくが、大量の老いる住宅を引き継ぐ人口自体が減っていくことから、老いる住宅に対する行政の関与や空き家の解体・撤去への税金投入など、これまでには想定されていなかった社会的コストが膨らむ危険性も指摘されている。