地震や土砂災害、火山噴火などの災害から復興する過程で建設される住宅のこと。災害公営住宅だけでなく、自立再建住宅も含まれる。近年の災害では、地域性や景観、供給システムなどを考慮した地域型復興住宅が提案されることも多い。たとえば、2004年の新潟県中越地震の際には、長岡市山古志地域において、一人でも多くの被災者が山に戻り、自力で住宅の再建ができるよう、雪に強く、中山間地の暮らしに配慮され、かつ約1000万円で建築できる住宅のモデルとして「中山間地型復興住宅」が提案された。新潟県産スギを活用し、地元の大工技術が取り入れられたほか、中門造りの民家の景観を継承した、板張りで軒の深い外観を採用、試作2戸、自立再建住宅18戸、公営住宅35戸の計55戸が建築された。地域型の木造住宅による組織的な復興が進められた最初の事例と言われ、07年の能登半島地震、11年の東日本大震災、紀伊半島大水害など、他の地域の復興住宅のモデルとなった。東日本大震災の被災地では、住宅の再建に向けて、岩手県、宮城県、福島県の被災3県それぞれに地域型復興住宅推進協議会が設立され、「地域型復興住宅」として、長期利用、将来成長、環境対応、廉価、地域適合、需要対応をコンセプトとする在来工法による木造戸建て住宅が提案されている。また、災害公営住宅に活用することも想定されている。同協議会に登録された住宅生産者グループが地域型復興住宅の供給に取り組んでおり、15年度までに岩手県で1万1320戸、宮城県で8742戸、福島県で1万2017戸が建設されたと推計され、全国の木造住宅着工戸数の4分の1を占めている。16年の熊本地震でも、県内建築団体などで構成された熊本県地域型復興住宅推進協議会が「くまもと型復興住宅」を提案。熊本の気候・風土など地域特性への配慮、熊本の地域産材の活用、耐震等級3または3相当、良質でコスト低減に配慮、県内の住宅事業者、大工・工務店が建設することが要件となっている。また、災害からの復興では、平時を超える需要に対して、限られた期間内に、多くの住宅を合理的な価格で、効率的に供給することが必要であり、再建者と施工者を合理的につなげる必要がある。たとえば、岩手県、宮城県、福島県の地域型復興住宅推進協議会では、ソフト面の支援として「地域型復興住宅マッチングサポート制度」により、建築主に対しては希望条件に合う工務店・設計者などを紹介するほか、労働力や建築資材不足が生じた工務店に対しては、対応可能な他の工務店や建材事業者の情報提供も行っている。また、住まいづくりの手引き書、標準設計図書、間取り・構造計画のルール、工事費概算システムなどを整備する必要があるほか、施工者組織や設計支援組織の立ち上げ、再建者のグループ化、建材メーカーの協力なども必要である。