2011年3月11日午後2時46分に発生した、マグニチュード9.0の巨大地震(東北地方太平洋沖地震)と津波による大災害。死者・行方不明者1万8449人(16年12月9日現在、警察庁発表)、負傷者6152人、全壊家屋12万1739棟、半壊27万9088棟、一部損壊72万6498棟、最大避難者数は約47万人に達した。経済被害は16兆9000億円、震災がれき量は2748万トン(災害廃棄物1661万トン、津波堆積物1087万トン、環境省発表、13年11月30日現在)となった。この震災の特徴は、つぎの9点にまとめられる。(1)スーパー広域災害 死者は12道都県で発生し、241市区町村に災害救助法が適用され、避難者数は47都道府県で27万8000人(13年11月14日現在)に達した。(2)複合災害 地震、津波、原子力事故で構成され、今後さらに拡大する可能性がある。(3)長期化災害 道路をはじめとするライフラインの復旧、防潮堤などの防災施設の建設、住宅再建を中心とした復興まちづくり、津波残存物の処理など、いずれも長期間を要する。(4)大規模津波災害 約40%の住民がすぐに避難しなかったために、未曽有の人的被害となった。(5)社会脆弱災害 高齢者、災害弱者が多く犠牲となった。(6)対策不全災害 防潮堤などは約190キロにわたって全壊し、湾口防波堤なども被災した。(7)市区町村再編災害 基礎自治体数が1725にほぼ半減し、市区町村面積が大きくなり、庁舎や職員も被災したために、対応が後手に回った。(8)専門家不在災害 原子力事故対策の適切な専門家がおらず、中小市区町村に災害対策の専門職が不配属だった。(9)物流災害 情報ネットワークが機能せず、港湾や沿岸製油所が被災し、道路啓開(障害物などを取り除いて通行を可能にすること)にも時間を要したため、ガソリンや軽油、薬など重要な物資の供給が困難だった。
なお、復興庁などによる16年11月現在の主な復興状況は、以下の通りである。(1)仮設住宅入居者数の状況 仮設住宅(4万5827人)、民間住宅(5万2156人)、公営住宅等(1万832人)、(2)広域避難者数 3万9149人(岩手、宮城、福島県を除く)、(3)震災がれきの処理・処分割合 災害廃棄物(97.6%)、津波堆積物(99.9%)、(4)ボランティア 総数150万人、(5)雇用 福祉、建設、水産加工分野における求職者数不足と事務的職業分野における求職者数過剰というミスマッチが発生、(6)被災自治体派遣職員 地方公務員(2071人)。