このハリケーンは、2012年10月29日午後8時頃、アメリカのニュージャージー州アトランティックシティー付近に上陸した。ノースカロライナ州からメーン州までの沿岸地域を中心に31日頃までに強風と高潮で多くの被害をもたらした。これら沿岸地域で観測された最大風速(1分平均)は毎秒20~40メートルに達し、死者はアメリカだけで132人、カリブ地域を含めると199人である。サンディはカテゴリー1から5まで定義された強さの中で、1に属する弱いハリケーンであったが、進行中に別の温帯低気圧と合体してしまったために、暴風域の広いハリケーンに成長した。この災害による経済被害は約800億ドルと推定されている。最も被害を受けた交通機関は地下鉄である。ニューヨークの河川を横断するトンネルの内、地下鉄は8トンネル、アムトラック(Amtrak)などの鉄道トンネルは4本、道路トンネルは4本浸水した。これらのトンネルを含む市街地はん濫は、想定していた潮位(Flood stageと呼んでいる)を超えたために発生した。たとえば、ニューヨーク市のバッテリーパークでは3.9メートルの潮位を観測し、想定していた潮位を2.2メートルも超過した。また、ニューヨーク市で電力事業を行っているコンエジソン(Con Edison)の地下変電所が浸水して爆発したほか、10万カ所以上の送電線の切断が起こり、長期停電が発生した。