1959年伊勢湾台風の未曽有(みぞう)の被害の後、61年に施行された一般法で、わが国の防災体制の基本を示す。当初より目的とするのは、国土ならびに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、防災に関し、国、地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し、責任の所在を明確にするとともに、防災計画の作成、災害予防、災害応急対策、災害復旧及び防災に関する財政金融措置、その他必要な災害対策の基本を定めることにより、総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り、もって社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することである。2011年東日本大震災まで大幅な改定は行われてこなかったが、12年に防災対策推進検討会議の報告書が公表され、それに基づいて、12~13年に相次いで、つぎのように改訂された。(1)大規模広域な災害に対する即応力の強化、(2)大規模広域な災害時における被災者対応の改善、(3)教訓伝承、防災教育の強化や多様な主体の参画による地域の防災力の向上、(4)減災等の理念の明確化と多様な主体の参画による防災意識の向上、(5)自然災害による国家的な緊急事態への対応のあり方、(6)被災者支援の充実、(7)復興の枠組みの整備、(8)避難の概念の明確化、(9)その他、災害対策法制全体の見直し、である。これらの改定によって、今後発生が危惧されている南海トラフ巨大地震や首都直下地震などに対応できるとしている。