わが国では、これを「国土強靭化(きょうじんか)」と訳している。内容は、国のあらゆる政策の根底に、しなやかで回復力が早いという特徴を打ち出していこうとするものであって、社会基盤整備やその維持・管理が主体ではない。元来は、2005年に神戸で開催された第2回国連世界防災会議で採択された兵庫行動枠組み(HAF ; Hyogo Action for Framework)の中の、15年までの各国の目標の日本版である。国会では「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」という38文字の法律が13年12月4日に成立した。また、同日開催された「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」で「国土強靱化政策大綱(案)」が示され、法的にも政策的にも国土強靱化を推進する体制が整いつつある。 国土強靱化の理念の基本目標は、(1)人命の保護が最大限図られる、(2)国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持される、(3)国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化、(4)迅速な復旧復興、である。国土強靱化の取り組みは、(1)地域住民の生命・財産、産業競争力、経済成長力を守る、(2)国・地方公共団体・民間それぞれに、状況変化への対応力や生産性・効率性の向上をもたらす、(3)新規市場の創出や投資の拡大等によって成長戦略にも寄与する、(4)国際競争力の向上、国際的な信頼の獲得をもたらす、(5)政府として、府省庁横断的に、地方公共団体や民間とも連携して、総合的に推進する、となっている。