情報が不足する場合でも、時間経過に従って、あらかじめ決めてある災害対応を実施する危機管理手法。2005年にアメリカ合衆国でハリケーン・カトリーナ災害が広域災害になった際、情報不足などが原因で対応に失敗し、約1800人が死亡した。その反省から、ハリケーンの場合は上陸時をゼロアワーと定義し、その前後で時間刻みで対応内容を決めておき、実行するという対応方法。たとえば、ハリケーンが上陸する36時間前に州知事は避難命令を発令する、ゼロアワーでは、消防署員・警官・州兵などは現場にいてはいけないなどの取り決めを関係者間で合意し、実行することになっている。12年ハリケーン・サンディ災害では、ニュージャージー州でこれを採用し、災害対応に成功したといわれている。これを成功させるためには、事前に各州はカウンティ(郡のことで、ここで死亡証明書などを発行する)の庁舎に市当局を集め、円卓会議で議論して方針を決めていくなどの努力が必要なことがわかっている。連邦危機管理庁は、あくまでも調整機関に徹して、リーダーシップを発揮して、意思決定を支援することが主たる業務である。わが国でも、このタイムラインの教訓を生かし、国土交通省では15年3月末に、109ある一級河川(水系)で洪水氾濫災害にタイムラインを適用した。