2016年8月17~8月23日の1週間に7号、11号、9号の3個の台風が続々と北海道に上陸し、北海道東部を中心に大雨により河川の氾濫や土砂災害が発生した。また、8月29日からの台風10号(1951年以降、気象庁の記録では太平洋側から直接台風が岩手県に上陸した初めてのケース)による大雨で、岩手県では久慈川や小本川(おもとがわ)の氾濫、北海道では十勝川水系や石狩川水系・空知川上流で堤防の決壊や河川の氾濫によって大きな災害となった。これら一連の風水害で29人が死亡した(このうち5人は遺体が見つかっていない)。北海道の河川は、一般に緩流河川が多く、石狩川のような河道の蛇行が顕著である。したがって、川に流入した雨水は容易に下流に流下せず滞留するために、三つの台風による大雨で農耕地の長期湛水が起こり、農作物にも大きな被害が発生した。岩手県岩泉町では、認知症高齢者グループホーム「楽ん楽ん(らんらん)」が小本川の洪水氾濫に巻き込まれ、入所していた高齢者全員9人が平屋の屋内で溺死した。この施設管理者は、岩泉町が発令していた避難準備情報の意味を理解しておらず、避難しなかったことが最大の原因といわれ、避難準備情報が避難準備・高齢者等避難開始に名称変更されるきっかけとなった。