災害発生直後に、国や被災都道府県は、情報連絡員の情報等に基づき、支援要請を行うことさえも困難となるほど行政機能が極度に低下していると判断された被災市区町村に対しては、要請を待たずに支援を行う必要がある。これをプッシュ型支援という。一方で、要請に応じて行う従来の支援のことはプル型支援という。プッシュ型支援では、受け入れ側の市区町村の被災レベルが特に大きい場合には、十分な受援体制がとれないことを前提に、可能な限り応援側で自立して自己完結できるような支援パッケージを提供しなければならない。具体的には、プッシュ型人員派遣では、応援職員を統括するとともに、被災自治体の災害業務についてもアドバイスを行うことができる者をトップとするチームを派遣することが必要とされる。プッシュ型物資支援では、被災地内での業務を簡略化するとともに、調達から避難所までの輸送体制の全体最適化を考えなければならない。また、国のプッシュ型支援の内容に関する周知に加え、必要に応じて物資の到着情報や地域ニーズを把握するためのシステムの導入や操作についての説明者も速やかに派遣することが望ましい。プッシュ型支援を速やかかつ円滑に実施するため、予め物的支援については物資の種類やその必要量の算出方法、調達方法を、また、人的支援については派遣予定者のリストを整備しておくべきである。特に、広域大規模災害時においては複数の現地対策本部を設置する必要もあるため、災害予備役(災害対応経験のある国や自治体職員、その退職者など)も含めるなど、できるだけ多くの派遣予定者のリスト化を進める必要がある。また、派遣予定者等に対する定期的な研修、訓練等、事前の準備を強化するべきである。