大規模な自然災害や犯罪事件、航空機・列車事故などが発生した場合、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等により新たに精神的問題が生じるなど、精神保健医療の需要が拡大する。このような場合には、被災地域の精神保健医療ニーズの把握、他の保健医療体制との連携、各種関係機関等とのマネージメント、専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援が必要である。このような活動を行うために、都道府県及び政令指定都市(以下「都道府県等」と呼ぶ)によって組織された専門的な研修・訓練を受けたチームをDPATという。2013年に制度が創設され、14年8月の広島土砂災害にあたって初出動した。DPATは、精神科医師、看護師および業務調整員を含めた数名で構成するが、現地のニーズに合わせて、児童精神科医、薬剤師、保健師、精神保健福祉士や臨床心理技術者等を含めて適宜構成する。DPATは、被災地域の都道府県等からの要請に基づき派遣される。このとき、DPATを構成する班の中で、発災当日から遅くとも72時間以内に、所属する都道府県等外の被災地域においても活動できる班を先遣隊として派遣する。さらに、DPATの1班あたりの活動期間は1週間(移動日2日・活動日5日)を標準とする。必要に応じて、同じ地域には同一の都道府県等が、班を交代させながら、数週間から数カ月継続して派遣する。