ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)。血栓溶解剤ウロキナーゼによく似た作用をもっており、心筋梗塞や脳梗塞などの治療に用いられる。t-PAは血栓を構成するたんぱく質フィブリンに対する親和性が高く、血漿中の線溶系に対しては影響が少ないと考えられている。ヒトの組織(血液、子宮組織等)から分離されたが、ヒトt-PA遺伝子をクローニングし、大腸菌に組み込んで、t-PAをつくらせるといった遺伝子工学の技術により大量生産が可能になった。1991年に天然型製剤(チソキナーゼ)が、続いて遺伝子組み換え製剤(91年にアルテプラーゼ、96年にナテプラーゼ、98年にモンテプラーゼ、99年にパミテプラーゼ)が承認された。t-PAは急性心筋梗塞における冠動脈血栓の溶解に用いられてきたが、2005年10月にアルテプラーゼが「虚血性脳血管障害急性期に伴う機能障害の改善」、またモンテプラーゼが「不安定な血行動態を伴う急性肺塞栓症における肺動脈血栓の溶解」(05年7月)へ適応拡大となった。