放射線障害を予防するための薬剤。大量の放射性ヨウ素が体内に侵入した場合、甲状腺に蓄積されて内部被曝を引き起こす可能性が生じる。そのため、原子力事故などで放射性ヨウ素が大気中にまん延した場合などは、防護薬剤として安定ヨウ素剤を予防的に服用することが必要となる。本剤をあらかじめ服用することで、放射性ヨウ素の甲状腺への取り込みを防ぐことができる。予防服用にかかる防護対策の指標として、放射性ヨウ素による小児甲状腺等価線量の予測線量100ミリシーベルト(mSv)とされ、服用回数は原則1回。1回の服用で効果は1日持続し、2回目の服用を考慮する場合は避難を優先させる。胎児または新生児の甲状腺機能に影響をおよぼす危険性があるので、妊婦・授乳婦にも頻回投与は行わない。1回の服用量は、新生児12.5ミリグラム、生後1カ月~3歳未満25ミリグラム、3~13歳未満38ミリグラム、13歳~40歳未満76ミリグラム、40歳以上は不要、とされている。