不眠治療には、ベンゾジアゼピン系薬(BZP)が用いられる。本剤は、脳内の抑制性伝達物質の一つであるγ-アミノ酪酸(GABA ; γ-aminobutyric acid)のGABAA受容体と機能的、構造的に共役しているBZP受容体に作用し、受容体膜のクロルイオン(Cl-流入を増加させ、静止膜電位の過分極を惹起する。BZPは抗不安作用、催眠作用の他に抗けいれん作用、筋弛緩作用などを有する。超短時間型(トリアゾラム、ゾルピデム、ゾピクロンなど)、短時間型(リルマザホン、エチゾラム、ブロチゾラム、タンドスピロンなど)、中間型(ニトラゼパム、フルニトラゼパムなど)、長時間型(フルラゼパム、ハロキサゾラム、クアゼパムなど)などの他、バルビツレート系薬剤(ペントバルビタール、フェノバルビタールなど)、抱水クロラール、トリクロホスナトリウムなどがある。乱用の危険性があるため、麻薬および向精神薬取締法(1990年8月25日施行)で規制されている。